一度遺産分割協議が完了した後の遺産再分割:その可否と注意点
- lmhoumu1
- 2024年12月20日
- 読了時間: 4分

遺産分割協議は、相続人全員が遺産の分割について合意し、その内容を確定する重要な手続きです。しかし、いったん遺産分割協議が完了した後に、相続人間で再分割を検討したい場合もあります。このような場合、再分割は可能なのでしょうか?この記事では、「再分割」の可否や手続き、注意点について詳しく解説します。
1. 遺産再分割は可能か?
原則:再分割は可能
一旦遺産分割協議が完了しても、全ての相続人の同意があれば、遺産再分割することは可能です。これは、遺産分割協議が相続人間の合意に基づいているため、再度合意を形成することで協議内容を変更できるからです。
2. 再分割が必要となるケース
(1) 分割内容の見直し
相続人間での話し合いにより、分割内容を変更する必要が生じた場合。
例:特定の相続人が不動産を他の相続人に譲る代わりに現金を受け取ることを希望。
(2) 遺産が未分割だった場合
遺産分割協議で一部の遺産が分割対象外とされていた場合、その遺産について再協議することができます。
(3) 相続人間の事情の変化
長期間の間に、相続人の経済状況や生活環境が変化した場合。
例:相続人の一人が経済的に困窮したため、遺産の一部を譲りたいという申し出があった場合。
(4) 登記内容の訂正
登記が法定相続分と異なる形で行われたが、話し合いにより変更を希望する場合。
3. 再分割の手続き
(1) 新たな遺産分割協議書の作成
再分割の場合でも、新しい遺産分割協議書を作成する必要があります。
遺産分割協議書には、全相続人の署名と実印による押印が必要です。
(2) 登記の更正または変更
不動産の相続登記をすでに完了している場合、新しい協議に基づいて登記を変更します。法務局に以下の書類を提出する必要があります:
新しい遺産分割協議書
登記申請書
相続人全員の印鑑証明書
その他、必要に応じた添付書類
(3) 税務の修正申告
再分割により相続税の課税対象が変わる場合、税務署に対して修正申告を行う必要があります。相続税の申告期限(10か月)を過ぎている場合でも、適切な申告を行うことが求められます。
4. 再分割が認められないケース
(1) 遺産が第三者に処分された場合
すでに売却された不動産や譲渡された財産については、再分割の対象にはなりません。
(2) 一部の相続人が同意しない場合
相続人全員の同意が得られない場合、再分割は成立しません。
(3) 明らかに不公平な内容
再分割の内容が特定の相続人に著しく不利益を与える場合、無効とされる可能性があります。
5. 再分割における注意点
(1) 相続人全員の合意が前提
再分割には、全相続人の合意が絶対条件です。一人でも同意しない相続人がいる場合、再分割はできません。
(2) 登記や税務の影響
再分割により登記や税務申告を変更する場合、手続きの煩雑さやコストが発生します。司法書士や税理士など専門家の助言を受けることが重要です。
(3) 書面で記録を残す
再分割は法的なトラブルを防ぐためにも、書面(新たな遺産分割協議書)を作成しておくことが必要です。口頭での合意だけでは証拠として不十分です。
6. 再分割を成功させるためのポイント
早めに話し合いを行う時間が経つほど相続人間の意見調整が難しくなるため、再分割を検討する場合は早めに話し合いを始めることが重要です。
専門家に相談する司法書士や弁護士、税理士のアドバイスを受けながら進めることで、手続きのミスやトラブルを防ぐことができます。
公平な協議内容を心がける全相続人が納得できる内容で協議を進めることが、再分割成功の鍵です。
7. まとめ
遺産分割協議が一度完了していても、全相続人の同意があれば再分割を行うことが可能です。ただし、登記や税務、手続きの煩雑さを考慮すると、慎重な対応が求められます。再分割を検討する際は、適切な書面を作成し、公平性を重視した協議を行いましょう。
専門家の助言を受けながら進めることで、再分割の手続きが円滑に進み、相続人全員が納得できる解決が期待できます。
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司法書士 望月大
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