二世帯住宅を相続する際のポイント:トラブルを防ぎ、スムーズに相続するために
- 司法書士 望月大
- 1月18日
- 読了時間: 4分

二世帯住宅は、親世代と子世代が暮らすために設計された特別な住宅です。その相続手続きは、通常の不動産と比べて少し複雑になることがあります。今回は、二世帯住宅を相続する際に注意すべきポイントや、スムーズに進めるための対策を解説します。
1. 二世帯住宅の基本的な特徴を理解する
二世帯住宅は、親世代と子世代が暮らすために建てられることが多く、以下のような特徴があります:
1棟の建物として登記されていることが一般的。
各世帯ごとに玄関やキッチンが分かれている場合がある(完全分離型)。
生活空間を一部共有している場合もある(部分共有型)。
これらの特徴が相続の進め方に影響を与えることがあります。
2. 相続時の課題とは?
(1) 所有権の分割が難しい
二世帯住宅は1棟の建物として登記されていることが多く、相続人間で分割するのが難しい場合があります。
完全分離型の場合でも、登記上は1つの不動産と扱われる。
相続人間で共有名義にする場合、将来的なトラブルの原因となることも。
(2) 評価額が高いことがある
二世帯住宅は敷地面積や建物規模が大きい場合が多く、固定資産税評価額や相続税評価額が高額になることがあります。
(3) 生活スペースの利用に関する問題
相続人の一部がそのまま居住を希望する場合、利用権や所有権の調整が必要です。
共有名義のままでは、誰が固定資産税や維持費を負担するかなど、具体的な取り決めが求められます。
3. 相続をスムーズに進めるためのポイント
(1) 財産の評価を正確に行う
二世帯住宅の価値を正確に把握するため、専門家に依頼して財産評価を行いましょう。
不動産鑑定士や司法書士が評価を行うことで、相続税や分割協議がスムーズに進みます。
土地と建物を分けて評価することで、相続分配の目安が立てやすくなります。
(2) 遺産分割協議を丁寧に進める
相続人全員で話し合い、遺産分割協議書を作成することが必要です。
協議のポイント
誰が住み続けるかを明確にする。
共有名義にする場合のルール(売却時や維持費の負担割合など)を取り決める。
現金や他の資産とのバランスを取って公平な分割を検討する。
(3) 遺言書の活用
被相続人が遺言書を作成しておくことで、相続トラブルを未然に防ぐことができます。
二世帯住宅の相続方法(特定の相続人への譲渡など)を明記しておくと、相続人間の争いを防ぎやすくなります。
(4) 共有名義を避ける工夫をする
二世帯住宅を複数人で共有名義にする場合、以下のリスクがあります:
将来的な売却や利用に関して意見が分かれる。
相続人の1人が亡くなった場合、その家族との関係でトラブルが生じる。
解決策
単独名義にする:住み続ける相続人1人に名義を移し、他の相続人には現金で代償する。
売却する:不動産を売却し、現金で分割する。
4. 節税のポイント
(1) 小規模宅地の特例を活用
二世帯住宅が相続税の対象となる場合、一定の条件を満たせば330㎡までの宅地評価額が最大80%減額される特例があります。
特例を受けるためには、「被相続人が生前に住んでいたこと」や「相続人が引き続き居住すること」などの条件を満たす必要があります。
5. プロの力を借りてスムーズな相続を実現
二世帯住宅の相続は、専門家のサポートを受けることでスムーズに進められます。
専門家に相談するメリット
不動産の評価や登記手続き:司法書士や不動産鑑定士がサポートします。
税務対策:税理士による相続税申告や節税対策。
法律的なアドバイス:弁護士が遺産分割協議書の作成や紛争の解決を支援。
6. まとめ
二世帯住宅を相続する際は、財産評価や分割方法、共有名義のリスク、節税対策など、事前に検討すべきポイントが多くあります。特に家族間のトラブルを防ぐためには、専門家の力を借りながら丁寧に手続きを進めることが重要です。
スムーズな相続を実現し、大切な二世帯住宅を次世代に引き継ぐために、ぜひ今回のポイントを参考にしてみてください。必要であれば、専門家に早めに相談することをおすすめします!

L&Mコンサルティング司法書士事務所
司法書士 望月大
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