共有名義の相続登記を避けるには?トラブルを防ぐための対策
- 司法書士 望月大
- 1月1日
- 読了時間: 4分

相続登記を進める際、不動産を共有名義にすると、一見公平に見えるため採用されることが多いですが、実は将来的なトラブルの原因になりかねません。本記事では、共有名義のリスクと、これを避けるための対策について詳しく解説します。
1. 共有名義とは?
共有名義とは、不動産を複数の相続人で共有する形で登記することを指します。例えば、父親が亡くなり、相続人が子供3人の場合、その不動産を3人で共有名義にするケースです。
共有名義でよくある理由
公平性の確保:全員が平等に相続財産を持てる。
即時の分割を避けたい:将来の活用方法を後回しにするため。
一見、合理的に思える共有名義ですが、デメリットも多いため注意が必要です。
2. 共有名義のリスク
(1) 不動産の処分が難しくなる
不動産を売却、賃貸、担保にする際、共有者全員の同意が必要です。1人でも反対する人がいれば、手続きが進められません。
事例
共有者の一人が遠方に住んでおり、連絡が取れない。
共有者の意見が合わず、売却が進まない。
(2) 管理負担が増える
共有不動産の維持管理費(固定資産税や修繕費など)をどのように分担するかが問題になります。
事例
特定の共有者が費用を負担しないため、不公平感が生まれる。
修繕が必要なタイミングで意見がまとまらず、対応が遅れる。
(3) 次世代への相続で問題が複雑化
共有者が亡くなると、その持分がさらに相続され、共有者の数が増えて複雑化します。
事例
初代の3人共有から、次世代の相続で10人以上の共有者に増加し、管理が困難になる。
3. 共有名義を避けるための対策
(1) 遺産分割協議で単独名義にする
相続人間で話し合い、特定の相続人が不動産を単独で相続する方法です。
メリット
管理や処分がスムーズに行える。
トラブルが発生しにくい。
注意点
他の相続人との間で公平性を保つため、不動産の価値に応じた金銭を支払う「代償分割」を検討する必要があります。
(2) 遺言書を活用する
被相続人が生前に遺言書を作成し、不動産を特定の相続人に相続させる旨を記載します。
メリット
相続人間での話し合いが不要になる。
被相続人の意向が明確で、トラブルを防ぎやすい。
注意点
公正証書遺言にしておくと、法的効力が強く安心です。
(3) 不動産の売却を検討する
相続人全員で不動産を売却し、得た代金を分配する方法です。
メリット
不動産を現金化することで、分割が容易になる。
固定資産税や管理の負担がなくなる。
注意点
売却益に対して譲渡所得税が発生する可能性があります。
(4) 換価分割を活用する
不動産の一部を売却し、残りを特定の相続人が取得する方法です。
事例
共有者の中で一人が自宅部分を取得し、他の部分を売却して分配。
4. 共有名義を選ぶ際の注意点
どうしても共有名義にせざるを得ない場合、以下のポイントを押さえておきましょう。
(1) 管理規約を作成する
費用負担や処分方法について、共有者間で事前にルールを取り決めておきます。
(2) 定期的に見直す
共有不動産の利用状況や管理状況を定期的に見直し、必要に応じて売却や分割を検討します。
5. 専門家に相談する重要性
(1) 司法書士や弁護士に相談
相続登記を含む手続き全般の相談に応じ、トラブルを防ぐためのアドバイスを提供します。
(2) 不動産鑑定士に依頼
不動産の適正価格を評価し、公平な分割案を作成する際に役立ちます。
6. まとめ
共有名義での相続登記は、一見平等に見えますが、長期的には大きなリスクを伴う可能性があります。これを避けるためには、遺産分割協議を通じて単独名義にする、遺言書を活用する、不動産を売却するなどの方法を検討しましょう。
相続に関する不安や疑問がある場合は、早めに専門家に相談し、適切な対策を講じることがトラブル回避のカギです。家族間の円満な相続を実現するためにも、慎重に計画を進めてください。
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