小規模宅地等の特例の使い方:相続税を大幅に軽減する方法
- 司法書士 望月大
- 2024年12月21日
- 読了時間: 4分

小規模宅地等の特例は、一定の条件を満たす宅地に関して相続税評価額を大幅に減額できる制度で、相続税対策の重要なポイントとなります。この特例を適切に活用することで、相続税の負担を大幅に軽減することが可能です。
例えば、1億円の土地を相続した場合、通常は3,600万円が控除され残りの6,400万円に課税され、相続税は1,220万円となります。
小規模宅地等の特例を使うと1億円の土地が80%減額され、残りの2,000万円に課税されます。
ここからさらに基礎控除の3,600万円が控除されるので土地の相続税が0円になります。
本記事では、小規模宅地の特例の概要、適用条件、実務での使い方について詳しく解説
します。
1. 小規模宅地の特例とは?
「小規模宅地等の特例」は、亡くなった方が住んでいた宅地や事業用の宅地などの評価額を、一定の面積まで大幅に減額する制度です。
減額の対象と割合
居住用宅地
被相続人が住んでいた宅地で、330㎡まで評価額の80%を減額。
事業用宅地
被相続人が事業に使っていた宅地で、400㎡まで評価額の80%を減額。
貸付事業用宅地
被相続人が賃貸していた宅地で、200㎡まで評価額の50%を減額。
2. 小規模宅地等の特例適用の基本条件
(1) 遺産分割が行われていること
小規模宅地の特例を適用するには、相続税の申告期限までに遺産分割が確定している必要があります。
(2) 宅地の用途
特例の適用には、宅地が以下のいずれかの用途に該当することが必要です:
被相続人の居住用
事業用(店舗や工場など)
貸付事業用(アパートや賃貸マンションなど)
(3) 宅地の所有者と利用状況
特例を受けるには、相続人が宅地を取得し、一定の条件を満たす必要があります。以下は主要な条件です:
居住用宅地の条件
被相続人と同居していた相続人が、相続後もその宅地に引き続き住む場合。
被相続人が一人暮らしで、相続人がその宅地を取得し、引き続き利用する場合。
事業用宅地の条件
被相続人が営んでいた事業を、相続人が引き継ぐ場合。
貸付事業用宅地の条件
被相続人が賃貸していた宅地を、相続人が引き続き賃貸事業に利用する場合。
3. 実務での使い方
(1) 相続税の申告で特例を申請
小規模宅地の特例を適用するには、相続税申告書に特例適用の旨を記載し、必要な書類を添付します。
必要な書類
遺産分割協議書
戸籍謄本(相続人の関係を証明するため)
土地の登記事項証明書
利用状況を証明する書類(住民票や事業の営業許可証など)
(2) 適用対象となる土地の特定
宅地が複数ある場合、どの宅地に特例を適用するか慎重に判断します。評価額の高い土地に特例を適用することで最大限の軽減効果を得られます。
(3) 適用後の管理
特例適用後も、特定の期間は宅地の用途を変更しないことが求められます。
例:居住用宅地の場合、相続人が一定期間(通常は10年)その土地に住み続ける必要があります。
4. 注意点とリスク
(1) 分割が確定しないと特例が使えない
遺産分割協議がまとまらない場合、特例を適用できません。相続人間の話し合いを早めに進めることが重要です。
(2) 特例適用後の用途変更
特例適用後に宅地を売却したり、賃貸用に転用した場合、税務署から特例の適用を否認される可能性があります。
(3) 貸付事業用宅地の制限
貸付事業用宅地に対する特例は、近年の税制改正で適用条件が厳しくなっています。専門家に相談することをおすすめします。
5. 小規模宅地の特例を最大限活用するためのポイント
複数の宅地がある場合は計画的に
評価額の高い宅地に特例を適用することで、税負担を大幅に軽減できます。
事前に専門家に相談する
税理士や司法書士に相談し、適切な手続きと計画を立てることが重要です。
遺産分割を早めに進める
分割協議がまとまらないと特例を適用できないため、相続人間でスムーズに話し合いを進めましょう。
6. まとめ
小規模宅地の特例は、適用条件を満たせば相続税を大幅に軽減できる強力な制度です。ただし、適用には厳密な条件があるため、事前の準備や専門家への相談が不可欠です。土地の評価額や相続人の状況を考慮し、最適な使い方を計画することで、相続税の負担を効果的に軽減しましょう。
相続税については税理士への相談が必須です。その他相続手続きに関する不安がある場合は、税理士、司法書士、弁護士に相談してスムーズに進めることをおすすめします!
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