法務局の遺言書保管制度
- 司法書士 望月大
- 1月15日
- 読了時間: 4分

法務局の遺言書保管制度は、遺言者が自筆証書遺言を安全に保管してもらうための制度です。この制度を利用することで、遺言書の紛失や改ざんのリスクを避けることができ、相続手続きもスムーズになります。以下に、制度の概要や利用方法、注意点を詳しく解説します。
1. 法務局の遺言書保管制度とは?
開始日:2020年7月10日から施行。
目的:自筆証書遺言の紛失・改ざんを防ぎ、安全に保管するための制度。
管轄機関:遺言者本人が住所地、または本籍地にある法務局で手続き。
保管可能な遺言書:自筆証書遺言のみ。
2. 利用の流れ
(1) 遺言書の作成
自筆証書遺言を作成します。
要件:自筆で記載(財産目録はパソコンでの作成可)。
用紙や形式に注意(A4サイズ推奨、訂正方法も法律に準拠)。
(2) 保管申請の準備
必要書類
作成した遺言書(封をしていない状態)。
本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)。
保管申請書(法務局で入手または公式サイトからダウンロード)。
申請先
遺言者の住所地、本籍地、または不動産所在地を管轄する法務局。
費用
保管手数料:3,900円(現金で支払い)。
(3) 法務局での手続き
遺言者本人が法務局に出向き、保管申請を行います(代理申請不可)。
法務局職員が遺言書の形式や記載内容を確認。
内容の適法性や有効性については判断しません。
(4) 保管証の交付
保管が完了すると、「遺言書保管証」が交付されます。
この保管証は、遺言書を確認する際に使用します。
3. 遺言書の閲覧・情報提供
(1) 生前に遺言者が閲覧する場合
遺言者本人は保管中の遺言書を閲覧可能。
閲覧には法務局での手続きが必要(手数料:なし)。
(2) 相続開始後の閲覧
相続人や受遺者(遺贈を受ける人)は、遺言者の死亡後に遺言書の「閲覧請求」や「情報提供請求」が可能です。
必要書類:遺言者の死亡を証明する書類(戸籍謄本など)。
閲覧手数料:1,400円(遺言書の写し交付は1,800円)。
4. 遺言書保管制度のメリット
(1) 遺言保管制度では遺言書の紛失や改ざんを防げる
法務局が遺言書を厳重に保管するため、紛失や改ざんのリスクがありません。
(2) 家庭裁判所での検認が不要
法務局で保管された遺言書は、家庭裁判所での「検認手続き」が不要です。
これにより、遺言の内容を迅速に実行できます。
(3) 信頼性の向上
遺言保管制度では遺言書の存在が法務局で管理されるため、相続人間でのトラブルを防ぎやすくなります。
5. 注意点
(1) 遺言内容の有効性は保証されない
法務局は遺言書の形式のみ確認し、内容の有効性や適法性について判断しません。
法的に有効な遺言書を作成するには、司法書士や弁護士のサポートを受けるのがおすすめです。
(2) 保管後の修正や撤回
保管された遺言書を修正することはできません。
修正が必要な場合は、新しい遺言書を作成し、再度保管申請を行う必要があります。
(3) 保管証の紛失
遺言書保管証を紛失しても、法務局に保管された遺言書自体は影響を受けません。
再発行はできないため、注意して保管しましょう。
6. 保管された遺言書の取り扱い
(1) 保管期間
遺言者の死亡後50年間、法務局が保管します。
(2) 他の遺言書との関係
法務局で保管された遺言書が最新のものである場合、有効となります。
後から新しい遺言書を作成した場合、その遺言書が有効になる可能性があります。
7. まとめ
法務局の遺言書保管制度は、遺言者にとって安心で便利な制度です。ただし、内容の有効性や適法性は別途確認が必要です。安心して確実な遺言を残すためには、司法書士や専門家に相談してサポートを受けることをおすすめします。
詳しくは法務局公式ページをご覧ください:法務局 遺言書保管制度

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