相続土地国庫帰属制度を使うとどうなる?使い道のない土地を国に引き渡す新制度を解説
- 司法書士 望月大
- 1月26日
- 読了時間: 4分
更新日:2月4日

相続によって引き継いだ土地を「管理しきれない」「使い道がない」と感じている人も多いのではないでしょうか。そのような状況に対応するために、2023年4月から新たに始まったのが「相続土地国庫帰属制度」です。この制度を活用することで、不要な土地を国に引き渡すことが可能になります。この記事では、この制度の概要、申請条件、メリット・デメリットを解説します。
1. 相続土地国庫帰属制度とは?
施行開始:2023年4月1日
目的:使い道のない土地を適切に処理し、所有者の負担を軽減すること。
背景
近年、少子高齢化や人口減少によって「使い道がなくなった土地」や「管理が困難な土地」が増加しています。この問題に対処するため、国が一定の条件を満たした土地を引き受ける仕組みが整備されました。
2. 制度の対象となる土地
この制度を利用できる土地は、一定の条件を満たした土地に限られます。以下の条件をクリアしていることが必要です。
主な条件
土地が管理可能であること
危険な崖地や汚染されている土地など、国が管理するうえで過大な負担がかかる土地は対象外。
建物が存在しないこと
建物が建っている場合は、まず解体しなければなりません。
土地に負担がないこと
抵当権や地上権などの権利が付いている場合、まずそれを解消する必要があります。
3. 制度の利用方法(申請手続きの流れ)
(1) 事前準備
土地の状況確認:土地の評価や状況を確認し、条件を満たしているか確認します。
書類の準備:
登記簿謄本
固定資産税評価証明書
土地の境界確認資料 など
(2) 申請
法務局に対し、土地の国庫帰属を申請します。申請には、「審査手数料」1筆あたり14,000円が必要です。
(3) 法務局の審査
法務局が土地の状況を確認し、条件を満たしているかを審査します。
(4) 負担金の納付
土地を国に引き渡すためには、国庫帰属承認後に**「管理負担金」**を支払う必要があります。
目安:1筆あたり約20万円(ただし、土地の面積や状況により異なります)。
(5) 国庫帰属
審査を通過し、負担金を納付すると、土地が国に帰属されます。その後、相続人は土地の管理や税金の負担から解放されます。
4. 制度のメリット
(1) 土地の維持・管理から解放される
不要な土地の管理負担や固定資産税の支払い義務がなくなります。
将来的に土地の維持が困難な場合でも、事前に手放すことで安心できます。
(2) 子孫への負担を軽減できる
次世代に不要な土地を引き継がせないことで、相続トラブルを防ぐことができます。
(3) 透明性の高い手続き
国が審査を行うため、土地の状態や手続きの透明性が確保されます。
5. 制度のデメリットと注意点
(1) すべての土地が対象になるわけではない
条件を満たさない土地(危険な土地、権利関係が複雑な土地など)は申請が却下される可能性があります。
(2) 費用がかかる
申請手数料や管理負担金など、費用が発生します。特に負担金は数十万円かかることが一般的です。
(3) 建物の解体が必要
建物が建っている場合、解体して更地にする必要があり、その費用は申請者負担となります。
(4) 土地を完全に手放すことになる
一度国庫帰属した土地は、申請者に戻すことはできません。慎重に判断が必要です。
6. 制度を利用すべき人は?
以下のような方には、この制度が特に適しています:
相続した土地が遠方にあり、管理が難しい方
固定資産税を支払い続ける余裕がない方
利用する予定のない荒地や山林を所有している方
子どもや孫に負担をかけたくない方
7. 制度利用の流れをサポートします
当事務所では、相続土地国庫帰属制度を利用した土地の引き渡し手続きを全面的にサポートします。
土地の条件確認
必要書類の収集
申請書類の作成
法務局とのやり取り
すべての手続きを司法書士が代行し、スムーズに進められるようお手伝いいたします。
まとめ
相続土地国庫帰属制度は、使い道のない土地を適切に処理する画期的な制度です。ただし、すべての土地が対象となるわけではなく、審査や費用が発生する点に注意が必要です。
相続した土地にお困りの場合は、ぜひお気軽に当事務所までご相談ください。
相談は無料です!

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