遺産分割協議がまとまらない場合の対応
- 司法書士 望月大
- 1月12日
- 読了時間: 4分

遺産分割協議がまとまらない場合、法的手続きが必要になることがあります。以下に、具体的な対応策とその手順を詳しく説明します。
1. 相続人全員での遺産分割協議の再協議
遺産分割協議は相続人全員の合意が必要です。一部の相続人が反対している場合、次のアプローチを試みることが有効です。
アプローチ
冷却期間を置く: 感情的な対立が激しい場合、一旦時間を置くことで状況が好転する場合があります。
専門家を仲介者として招く: 弁護士や司法書士が中立的な立場で話し合いを進めることで、合意が得やすくなります。
公平な資産評価を行う: 不動産や現金以外の資産について、専門家による評価を依頼することで、具体的な分割案を提示しやすくなります。
注意点: 相続人全員の合意が得られない限り、協議書を作成することはできません。
2. 家庭裁判所への調停申立て
話し合いで解決が難しい場合、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てることができます。
調停の概要
調停の場: 家庭裁判所で行われ、裁判官と調停委員が仲裁に入ります。
申立人: 相続人の誰でも申立て可能。
必要書類: 被相続人の戸籍謄本、相続人全員の住民票、対象不動産の登記事項証明書など。
費用: 1,200円程度の収入印紙と切手代(裁判所による)。
手続きの流れ
申立て: 管轄の家庭裁判所に申請書を提出。
調停期日の設定: 申請後、家庭裁判所から調停期日が通知されます。
調停の実施: 相続人全員が裁判所に出席し、調停委員を通じて話し合いを行います。
結果: 調停が成立すれば、その内容に基づいて登記が可能になります。
3. 家庭裁判所への審判申立て
調停が不成立の場合、家庭裁判所が裁判形式で遺産分割を決定する「審判」に進むことができます。
審判の概要
裁判所が最終決定: 裁判官が法的観点から遺産分割を決定します。
証拠資料: 不動産の評価額、相続人間のやりとりの記録などを提出します。
期間: 数ヶ月から1年以上かかる場合があります。
メリットとデメリット
メリット: 最終的に法的に有効な決定が下される。
デメリット: 時間と費用がかかり、関係性が悪化する恐れがある。
4. 遺留分の主張
一部の相続人が遺産分割協議に納得せず、自分の権利を主張したい場合、「遺留分侵害額請求」を行うことができます。
遺留分とは
法定相続分の一定割合を確保する権利のことで、主に以下の割合が適用されます:
配偶者、子がいる場合: 1/2
配偶者のみ、または直系尊属のみの場合: 1/3
手続きのポイント
遺留分侵害額請求書を送付: 弁護士に依頼することが一般的です。
期限: 相続開始を知った日から1年以内、または相続開始から10年以内。
5. 専門家への相談
遺産分割協議が難航している場合、弁護士や司法書士に相談することが強く推奨されます。
専門家の役割
弁護士: 法的手続き全般のサポートや調停・審判での代理人。
司法書士: 登記手続きや書類作成のサポート。
費用目安
弁護士費用: 着手金10万円~30万円、成功報酬として分割額の10~20%。
司法書士費用: 登記手続きのみの場合は5万円~15万円程度。
まとめ
遺産分割協議がまとまらない場合でも、以下の手順を踏めば解決の糸口を見つけることが可能です:
再協議での解決を試みる。
家庭裁判所に調停を申し立てる。
調停が不成立の場合は審判に進む。
遺留分の侵害がある場合は請求を行う。
専門家の力を借りてスムーズに手続きを進める。
感情的な対立を避け、冷静に対応することがトラブル回避の鍵です。必要に応じて適切な専門家に相談し、法的な解決を目指しましょう。

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