遺留分侵害額請求権行使について:具体的対処法
- 司法書士 望月大
- 2024年12月23日
- 読了時間: 4分

遺留分は、法定相続人に保障された最低限の相続分で、これが侵害された場合には遺留分侵害額請求権を行使して取り戻すことができます。しかし、実際に請求を行う際には、法的手続きや相続人間の調整が必要で、慎重な対応が求められます。本記事では、遺留分侵害額請求権の具体的な行使方法と注意点を詳しく解説します。
1. 遺留分侵害額請求権とは?
遺留分侵害額請求権とは、遺言や生前贈与によって自分の遺留分が侵害された場合に、侵害額に相当する金銭の支払いを請求する権利です。遺留分により保護される相続人(遺留分権利者)は以下の通りです:
配偶者
子(または代襲相続人)
直系尊属(親や祖父母)
兄弟姉妹には遺留分はありません。
2. 遺留分侵害額請求の具体的な行使方法
(1) 遺留分が侵害されているか確認する
まずは、自分の遺留分が侵害されているかを計算します。
遺留分の計算方法
遺留分の算定基礎財産を特定する:
被相続人が死亡時に所有していた財産
死亡前に行った生前贈与(一定期間内の贈与が対象)
債務を差し引いた額
遺留分の割合を適用する:
子や配偶者がいる場合:財産全体の1/2
直系尊属のみの場合:財産全体の1/3
遺留分の侵害額を算出する:
実際に受け取った分を遺留分と比較し、不足している額を計算します。
(2) 請求相手を特定する
請求対象者は、遺言や生前贈与によって財産を多く取得した受遺者や受贈者です。
(3) 内容証明郵便で請求する
遺留分侵害額請求権は、まず内容証明郵便を利用して相手に通知します。
内容証明郵便のポイント
請求の意思表示
「遺留分侵害額請求権を行使します」と明記。
請求金額
具体的な侵害額を記載。
期限を設定
例:「30日以内に対応をお願いします」など。
内容証明郵便を送る理由:
法的に請求の意思表示が証明でき、後のトラブル防止につながります。
(4) 話し合いによる解決を図る
請求相手が対応してくれる場合は、協議を通じて解決します。
協議のポイント
支払い方法(分割や一括払い)を決める。
合意が成立したら合意書を作成し、双方が署名・押印します。
(5) 調停または訴訟を検討する
話し合いで合意に至らない場合は、家庭裁判所で調停を申し立てます。
家庭裁判所での調停
裁判所が中立的な立場で仲介し、解決を図ります。
調停が成立すれば、法的拘束力が発生します。
訴訟
調停が不成立の場合、訴訟を提起します。
裁判所が遺留分侵害額や支払い義務について最終的な判断を下します。
3. 遺留分侵害額請求の期限
請求権には法律で期限が定められており、これを過ぎると請求できなくなります。
知った時から1年以内
遺留分侵害の事実を知った日から1年以内に請求しなければなりません。
相続開始から10年以内
被相続人の死亡から10年を過ぎると請求権が消滅します。
4. 遺留分侵害額請求の注意点
(1) 遺留分の計算ミス
計算が複雑になる場合が多いため、専門家(弁護士や司法書士)に相談して正確に算出することが重要です。
(2) 感情的な対立の回避
相続人間の争いを避けるため、冷静に対応し、適切な調整を図りましょう。
(3) 専門家の活用
遺留分侵害額請求がこじれる場合、弁護士や司法書士を代理人に立てるとスムーズに進みます。
5. まとめ
遺留分侵害額請求権を行使するには、遺留分の計算や請求の意思表示、協議や調停といった段階を踏む必要があります。また、期限が厳格に定められているため、早めの対応が求められます。
感情的なトラブルを避けるためにも、専門家のサポートを受けながら冷静に手続きを進めることが重要です。遺留分侵害が疑われる場合は、早めに弁護士や司法書士に相談し、適切な対策を講じましょう。
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