遺言書が二つ見つかった場合、どちらが有効?~トラブルを防ぐための基礎知識~
- 司法書士 望月大
- 1月21日
- 読了時間: 3分

遺産分割や相続手続きで重要な役割を果たす「遺言書」。しかし、遺言が複数存在する場合、どれが有効なのか判断に迷うことがあります。今回は、「遺言が二つ見つかった場合、どちらが有効なのか?」をテーマに、トラブルを防ぐための基礎知識を解説します。
1. 遺言が二つ見つかった場合の基本原則
遺言は、被相続人(亡くなった方)が自身の意思を示した重要な文書です。複数の遺言が見つかった場合、後に作成された遺言書が有効になります。
理由
遺言は何度でも書き直しが可能です。
被相続人の意思は、最新のものを尊重するのが法律の原則です。
確認ポイント
遺言に記載された以下の情報を確認してください:
作成日(最も新しい日付のものが有効)。
遺言書が法的に有効な形式で作成されているか。
2. 遺言の形式と有効性
遺言が有効であるためには、法律で定められた形式に従って作成されている必要があります。以下の3つが主な形式です:
(1) 自筆証書遺言
特徴:本人が全文を自書し、署名・押印を行ったもの。
注意点:
作成日が記載されているか確認。
2020年の法改正により財産目録は自書でなくてもよくなりましたが、目録には署名・押印が必要。
(2) 公正証書遺言
特徴:公証人が作成する公的な遺言。
利点:内容が明確で無効になるリスクが低い。
(3) 秘密証書遺言
特徴:遺言の内容を秘密にしたまま、公証人に証明を受けたもの。
注意点:利用頻度が少なく、手続きの煩雑さや無効リスクが高い。
3. 遺言内容が矛盾する場合の解決方法
複数の遺言の内容が矛盾している場合、後の遺言が優先されます。ただし、以下のケースでは慎重な判断が必要です:
(1) 部分的に矛盾している場合
例:遺産分割について一部の指示が異なる場合、後の遺言がその矛盾する部分についてのみ優先され、他の部分は前の遺言が適用される可能性があります。
(2) 前後の遺言が補完関係にある場合
例:前の遺言で財産の全体像を示し、後の遺言で特定の財産についてのみ変更が指示されている場合、両方を組み合わせて解釈します。
4. 実務上の注意点
(1) 遺言書が法的に有効か確認
専門家(司法書士や弁護士)に相談し、形式や内容の確認を行います。
無効となる遺言書(例:署名がない、日付が不明)を判断することが重要です。
(2) 遺言執行者の指定
公正証書遺言や後の遺言書で遺言執行者が指定されている場合、その執行者が優先的に手続きを行います。
(3) 相続人間の話し合い
矛盾する遺言内容により相続人間で紛争が生じる場合、調停や裁判に発展することがあります。
可能な限り話し合いによる解決を目指しましょう。
5. トラブルを防ぐためのアドバイス
(1) 公正証書遺言の活用
公証人が関与するため、形式不備のリスクが低く、複数の遺言が見つかる場合でも信頼性が高いです。
(2) 古い遺言の破棄
最新の遺言作成後、古い遺言書を適切に破棄することでトラブルを防げます。
(3) 専門家への相談
複数の遺言が見つかった場合、内容や有効性について専門家に相談することでスムーズに解決できます。
まとめ
遺言が二つ見つかった場合、最新の日付の遺言が有効となります。ただし、内容が矛盾していたり、形式に不備があったりする場合は、慎重に対応する必要があります。
遺言に関するトラブルを避けるためには、信頼できる専門家のアドバイスを受け、適切な手続きを行うことが重要です。疑問があれば、ぜひご相談ください!

L&Mコンサルティング司法書士事務所
司法書士 望月大
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