使い道のない土地を相続した場合の相続登記の進め方
- 司法書士 望月大
- 1月3日
- 読了時間: 4分

相続により土地を取得したものの、利用する予定がない場合、どのように対応すべきか悩む方も多いでしょう。使い道がない土地でも、相続登記を行わないと将来的に大きなリスクを伴うことがあります。本記事では、使い道のない土地を相続した場合の相続登記の進め方や、その後の選択肢について詳しく解説します。
1. 使い道のない土地でも相続登記は必要
2024年4月1日から相続登記が義務化され、相続人は被相続人が亡くなったことを知った日から3年以内に相続登記を行う必要があります。義務を怠ると、10万円以下の過料が科される可能性があります。
相続登記を放置するリスク
管理義務が発生する:所有者として土地の管理責任を負う必要があります。
共有者が増えて複雑化する:相続人が亡くなるとその相続人が増え、土地の権利関係がさらに複雑になります。
売却や活用が困難になる:権利関係が不明確だと処分や活用の手続きが難しくなります。
2. 相続登記の基本的な進め方
ステップ1:相続人を確定する
被相続人の戸籍謄本を取得し、相続人を確認します。
必要書類
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
相続人全員の戸籍謄本または抄本
被相続人の住民票除票(死亡したことを証明)
ステップ2:遺産分割協議を行う
相続人全員で話し合い、土地を誰が相続するかを決めます。
遺産分割協議書
相続人全員の署名・押印(実印)が必要です。
協議書がない場合、法定相続分での共有名義となりますが、将来的な管理や処分が難しくなるため、単独名義にすることをおすすめします。
ステップ3:固定資産税評価証明書を取得
土地の評価額を証明するため、固定資産税評価証明書を役所で取得します。登録免許税の計算に必要です。
ステップ4:相続登記の申請
管轄の法務局で相続登記を申請します。
必要書類
登記申請書
遺産分割協議書(または法定相続分を証明する書類)
被相続人の戸籍謄本、住民票除票
相続人の戸籍謄本、住民票
固定資産税評価証明書
登録免許税
固定資産税評価額 × 0.4%
3. 相続登記後の選択肢
(1) 売却する
使い道がない土地は、売却することで管理費や税負担を解消できます。
売却の流れ
不動産業者に査定を依頼し、売却活動を開始。
買主が見つかれば、売買契約を締結。
売却益が出た場合には、譲渡所得税の申告が必要です。
注意点
売却が難しい土地の場合、不動産買取業者に相談するのも一案です。
(2) 寄付する
公共団体やNPO法人への寄付を検討することで、所有権を手放すことが可能です。
注意点
寄付を受け入れるかどうかは受け手の判断に委ねられます。
管理コストの削減を目的にした寄付は受け入れられない場合があります。
(3) 活用方法を検討する
駐車場経営:初期投資が少なく、収益を得られる可能性があります。
太陽光発電用地:日当たりの良い土地では、エネルギー業者に貸す選択肢もあります。
農地として貸す:条件が合えば、農地利用者に貸し出すことが可能です。
(4) 相続放棄を検討する
土地を所有することが経済的負担になる場合、相続放棄を選ぶことも可能です。
注意点
相続放棄は、家庭裁判所で手続きを行い、被相続人が亡くなった日から3か月以内に申請する必要があります。
他の財産も放棄することになるため、慎重に判断してください。
4. 専門家に相談する重要性
(1) 司法書士
相続登記の手続きを代行し、必要書類の作成や法務局への申請を行います。
(2) 弁護士
相続人間で意見がまとまらない場合、調停や解決のためにサポートを依頼できます。
(3) 不動産会社
売却や活用の可能性について専門的なアドバイスを受けられます。
5. まとめ
使い道のない土地を相続した場合でも、相続登記は必ず行う必要があります。相続登記を放置すると、将来的なトラブルや経済的負担が増えるリスクがあります。
相続登記後は、売却や寄付、活用、あるいは相続放棄など、自分の状況に合った選択肢を検討しましょう。不安な場合は、司法書士や不動産会社に相談することで、適切な対応を見つけることができます。
早めの行動で、不要な負担を減らし、相続手続きをスムーズに進めましょう!
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