遺産分割の基本ルール:法定相続分とは?
- 司法書士 望月大
- 2024年12月22日
- 読了時間: 3分

相続が発生した際、遺産をどのように分けるかは重要な課題です。遺言がない場合、相続人間の話し合い(遺産分割協議)によって分割方法を決めますが、その際の基準となるのが「法定相続分」です。本記事では、法定相続分とは何か、その考え方や具体例、注意点について詳しく解説します。
1. 法定相続分とは?
法定相続分とは、民法で定められた相続人ごとの遺産の分配割合を指します。遺言がない場合、または遺産分割協議がまとまらない場合に適用されます。
(1) 基本の考え方
法定相続分は、被相続人(亡くなった方)の親族関係をもとに、相続人ごとに割り当てられる割合が異なります。
2. 法定相続分の具体的な割合
(1) 配偶者と子が相続人の場合
配偶者:1/2
子:1/2を子の人数で分ける
例:子が2人なら、それぞれ1/4ずつ。
(2) 配偶者と直系尊属(親など)が相続人の場合
配偶者:2/3
直系尊属:1/3を人数で分ける
例:両親が健在なら、それぞれ1/6ずつ。
(3) 配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合
配偶者:3/4
兄弟姉妹:1/4を人数で分ける
例:兄弟が3人なら、それぞれ1/12ずつ。
(4) 配偶者がいない場合
子のみの場合:子が全員で平等に分けます。
直系尊属のみの場合:直系尊属が全員で平等に分けます。
兄弟姉妹のみの場合:兄弟姉妹が全員で平等に分けます。
3. 具体例で考える法定相続分
ケース1:配偶者と子2人がいる場合
被相続人の遺産:3,000万円
配偶者:3,000万円 × 1/2 = 1,500万円
子1人あたり:3,000万円 × 1/4 = 750万円
ケース2:配偶者と親2人(直系尊属)がいる場合
被相続人の遺産:2,400万円
配偶者:2,400万円 × 2/3 = 1,600万円
親1人あたり:2,400万円 × 1/6 = 400万円
ケース3:配偶者と兄弟姉妹3人がいる場合
被相続人の遺産:1,200万円
配偶者:1,200万円 × 3/4 = 900万円
兄弟姉妹1人あたり:1,200万円 × 1/12 = 100万円
4. 法定相続分の重要なポイント
(1) 法定相続分は「基準」である
実際の遺産分割は、相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で決めます。
法定相続分と異なる分配方法を選ぶことも可能です。
(2) 遺言がある場合は遺言が優先
被相続人が遺言を残している場合、その内容が優先されます。ただし、法定相続人には「遺留分」と呼ばれる最低限の権利が保障されています。
(3) 特別受益や寄与分の調整
相続人の中に、被相続人から生前贈与を受けた者(特別受益)や被相続人の財産形成に貢献した者(寄与分)がいる場合、法定相続分に基づいてその分を調整することがあります。
5. 法定相続分を巡るトラブルを防ぐには?
(1) 被相続人が生前に遺言書を作成する
公正証書遺言や法務局の遺言書保管制度を活用し、相続人間の不公平感を減らす内容を事前に明示するとよいでしょう。
(2) 遺産分割協議を円満に進める
相続人全員で話し合いを行い、不満が出ないよう公平な分割を目指します。第三者の専門家(弁護士や司法書士)の立ち会いを依頼することも有効です。
(3) 専門家に相談する
相続問題の解決や手続きには、税理士や弁護士、司法書士などの専門家の助言を求めるとスムーズです。
6. まとめ
法定相続分は、相続財産の分配を考える際の基本的なルールです。ただし、それはあくまで基準であり、実際の分割は相続人間の協議や遺言の内容に基づいて決まります。
相続は感情的な問題が絡むため、法定相続分の知識を持ち、公平かつスムーズに進めることが大切です。トラブルを防ぎながら、適切な手続きを行うためには、専門家への相談も積極的に活用しましょう。
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